イル・エ・エル〜彼らと彼女

”第百三十九夜”から「男と女」繋がりで、今日はこんな曲が聴きたい気分。

僕は、この曲にとても思い入れがあります。
それは大学1年生の頃だろうか。

その頃バイトをしていた蔦屋にこの曲が突然何の前触れもなく流れた。
驚いた。あまりにも洗練された音、男女の重なりあう囁くような歌声。こんなお洒落な音楽がこの世にあるのかと心から感動した。

僕はこの曲をどうしても手に入れたくなった。ラジオから流れるこの曲の曲名、アーティスト名を絶対に聞き漏らさないようにと集中した。

しかし、こんな時に限って僕の立つレジの前には長蛇の列。
「いらっしゃいませ。」「ありがとうございました。」
言っているうちにラジオは次の曲へと。
なんてことだ。いやしかし、冷静になれ、頭の中には、さっきまで店内を満たしていた洒落たフレーズがずっと流れているではないか。
よし、このフレーズをもとにさっきの曲を見つけ出すんだ。

バイトの先輩や同僚や後輩に、さっきの曲について尋ねる。
「さっきの曲って?、いつの曲?」
「ほらさっき流れていたすごくお洒落な感じの音楽ですよ。」
「お洒落?それだけじゃ分からないよ。」
仕方ない、恥ずかしがっている場合ではない。
「ダバダ、ダバダバダ〜」
ついに僕は歌いだす。
「分からないな。」
え。僕は恥ずかしい思いをしながらも歌っているのに。

もういい、やっぱり音楽を探すには町一番のレコード店に行くしかない。
そんな訳で僕が向かったのはタワーレコード。
タワーレコードに着くなり、一番音楽通ってな顔をしている店員さんをつかまえ、前置きせずに歌いだす。
「ダバダバダ〜。この曲探しているんですけど。」
「僕は邦楽担当だから分からないな。洋楽の担当者を連れてきますよ。」
何だよ、君の顔が洋楽っぽいから聞いたのに。と訳も分からない自分勝手な怒りを抑えつつ、やってきました洋楽担当者らしい彼女に向かい
「ダバダバダ〜。」

「それはクレモンティーヌですね。」

「君最高。素敵すぎ。」

そんなこんなで、やっとの思いで手に入れたこの曲と出会ってからもう10年とちょっとです。
今聴いてもあの当時のお洒落感はまったく色褪せていないですね。
この曲との出会いから、僕はボサノヴァを知りました。

そして、この曲を教えてくれた店員さんとも、この曲を通じでお友達になりました。

なかなか良き思いでです。