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Tairaオススメ度:★★★★★

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はじめに袋とじのまま、短編小説の「消える短編小説」をお読みください。
そのあと各ページを切り開くと、驚くべきことが起こります―。
そして謎の超能力者と怪しい奇術師、次次にトリックを見破るヨギガンジーが入り乱れる長編ミステリー「生者と死者」が姿を現すのです。
史上初、前代未聞驚愕の仕掛け本。
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以前読んだ、しあわせの書(今日の一冊「しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 - 泡坂 妻夫」(201702))があまりにも衝撃的な作品だったので、今回手に取った「生者と死者」もとても楽しみに読み進めました。

この本は、いくつかのページが袋とじの状態となっていて、袋とじの状態でも短編小説として成立しているし、短編小説を読んだ後で、袋とじを全て切り開き、もう一度最初から読むと別の長編小説が現れる。そんな仕掛けになっています。

短編小説は、文章に若干のちぐはぐ感や突然の場面展開はあるものの、うら寂しい雰囲気の謎めいた物語で、言葉足らずではありつつもそれがかえって想像力を膨らませるような内容でした。

長編小説はというと、短編小説では登場しなかったヨギガンジー一行によるシリアスかつコミカルでテンポ良いミステリー小説となっていて、ところどころのページは当然短編小説と共有しているはずなのに、登場人物の役割や場面や語られる物語の雰囲気が全く異なっていて、その違いを発見するたびに驚き、そしてそれが物語としてきちんと整合性がとれていることに心から感動を受けました。

そして、一度袋とじを開いてしまうと、物語が消失していくと同時に、どの部分が短編小説のページだったか分からなくなるため、本自体からも短編小説が消えてしまうという、まさに「消える短編小説」というタイトル通り状況が生まれます。

本当に驚きました。そして、その練り込まれたアイデアの素晴らしさに感嘆です。

ミステリー小説としては、若干物足りなさを感じなくもないですが、なにより、この本を体験できたことは本当に良かったと心から思います。

素晴らしい小説でした。